◇はじめに
対象
SNSをビジネスに活用したい中小企業様や個人経営店舗様(SNS広告の利用は考えない)
背景
4大SNS(Instagram、Twitter、LINE、Facebook)は成熟が進んでおり、用途と条件によって適するSNSとその運用戦略は自ずと定まります。(併用も可)
目的
各SNSの概要と特徴を参考に運用するSNSを定め、戦略に従って運用する
目次
概要
Instagramは画像や動画で他者と繋がるSNSです。
他者が投稿した画像や動画を閲覧し、いいねやコメントを行なって楽しむほか、ユーザー自身が投稿する側となって楽しみます。
画像や動画を投稿する際にはテキストを添えることが可能ですが、通常このテキスト内にはタグ(ハッシュタグ)を付記します。
タグによりその投稿の性質やメッセージが一目で分かると共に、タグを辿って他者の人気の投稿や最新の投稿を閲覧することが可能です。一つの投稿に10~15程度タグを用いることも珍しくありません。
以前はユーザーのほとんどが青年層の女性で、人気のタグといえばほとんどが美容関連か飲食関連でした。
現在は男性のユーザーも増え、年齢層も広がってきましたが、まだ40代までの女性が中心です。
特徴
Instagramに最適なビジネス活用用途は集客・顧客育成になります。
集客は実店舗・オンラインショップを問いません。
顧客育成とはあまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、ユーザーの中から売り出したい商品・サービスに関心のあるユーザーを浮かび上がらせ、購買や利用を検討する段階まで育て上げることを意味します。
(マーケティングの分野ではナーチャリングと呼ばれています)
例えば(一部の)食品メーカー様は自ら販売をせず、スーパーやコンビニを介して販売します。もし店頭で自社の商品が優先的に選ばれるようになれば、大きく売上を伸ばすことになるでしょう。
他の例としては、現在苦境に耐えている観光業・宿泊業の皆様が挙げられます。自店舗や自地域への顧客(関心のある層)を育てておくことで、今後社会が以前の動きを取り戻したときに、スムーズに訪問者を増やすことが出来ます。
そしてSNSをビジネス目的で運用する際には『CV(運用上のゴール)』の設定が大切になります。
何となく成果は出ている、出ていないと主観で評価するのではなく、CVを設定した上で、一定期間中のCV数で運用を評価します。
集客目的でInstagramを運用する場合のCVは、訪問して欲しい商品ページや店舗ホームページへの誘導リンクのクリックとなります。
顧客育成目的でInstagramを運用する場合のCVは、一般ユーザーのフォロワーとなります。
ただしこれらのCVは簡単には得られません。
Instagramで投稿された方ならご存知でしょうが、アカウントが育たない内は(フォロワーの少ない段階では)そもそも閲覧数が伸びないためです。
閲覧数を増やすためにはタグの人気投稿に入る必要があります。実際にタグをクリックしてみると分かりますが、各タグには9個の投稿がピックアップされた人気投稿欄があり、ここに入るかどうかで閲覧数が大きく変わります。
(最新投稿欄もありますが、多くのタグでは後の投稿にすぐ流されてしまいます)
ただし人気投稿に入るのであればどのようなタグでも良いわけではありません。
『ターゲット』(来店・顧客になってくれそうなユーザー)が良く見るタグで人気投稿に入らなければ、結果としてCVや来店・顧客に至りません。
もし「みなとみらいにあるカレー屋」であれば、人気投稿を目指す理想のタグは「みなとみらい」や「カレー」となるでしょう。
戦略
「いかにしてタグの人気投稿に食い込むか」の解決には両面から考えるべきで、片方は「現在人気投稿に食い込むことが可能なタグを探すこと」、もう片方は「人気投稿に食い込むようなコンテンツを投稿すること」です。
前者の「現在人気投稿に食い込むことが可能なタグを探すこと」のポイントは、『現在』の部分にあります。
その理由は、運用開始直後にメジャータグ(投稿数が数万人以上のタグ)の人気投稿に上ることが不可能であるためです。
人気投稿に上る条件として、「投稿してから一定時間内に得られたいいね数」がありますが、その他に「投稿したアカウントのフォロワー数」も影響します。
まずは投稿数が1万以下のタグから人気投稿を狙うものを幾つか選びましょう。
これはメジャータグを使うなという意味ではなく、タグを目的に応じて組み合わせるという意味です。(メジャータグは人気投稿に入れなくともジャンルの識別になります)
課題とは関係ありませんが、オリジナルのタグもあえて自作して追加することで、メッセージや企業名・店舗名の宣伝になります。
そして後者の「人気投稿に食い込むようなコンテンツを投稿すること」のポイントは、前述のようにいいねを多く獲得することです。
ただしここで勘違いしがちですが、これは綺麗な写真・魅力的な動画を投稿するという意味では無く、そのタグを好んで見るユーザーが見たいと考えるコンテンツを投稿しようという意味です。
そのタグを好んで見るユーザーが見たいコンテンツは、現在そのタグで上位表示されている投稿が教科書です。
例えば「健康食品を販売する企業」が「健康」のタグに「高齢でも元気に歩くお年寄り」の写真を投稿したとしても、閲覧数やいいねは伸びません。
なぜなら「健康」タグを見るユーザーが求めている投稿は、“若く見られる顔”や“みずみずしい肌”といったタイプの健康だからです。
そしてInstagramは『想像』が行動に繋がるSNSです。
投稿を見たユーザーが「自分もこれを利用したい」「これがある生活はきっと素晴らしい」と想像するような投稿は、いいねを得やすく、CVにも繋がります。
概要
Twitterは全角140文字までのショートメッセージ『ツイート』の投稿に情報を乗せてやり取りするSNSです。
プライベート色が強い所はInstagramと同様ですが、「誰が言ったかよりも何を言ったかが重視される」文化やSNS随一の拡散力を持つリツイート機能などが存在します。
日本のTwitterのユーザー数は増加の一途を辿っており、死角となるジャンルはほとんどありません。(高齢者が購買層になるビジネスはまだ難しいでしょう)
ただしその分埋没しやすいSNSとも言えます。
特徴
Twitterに最適なビジネス活用用途も集客・顧客育成になります。
CVの設定もInstagramと同様に、集客であれば誘導リンクのクリック(Twitterの場合は売り出したい商品やサービスのアピールと誘導リンクを載せた『アピールツイート』を発信します)、顧客育成であれば一般ユーザーのフォローが該当します。
ただしCVへの道筋は幾らか異なり、CV数を増やすためには『認知』『関心』『拡散』の3要素を増やさなければなりません。
集客を例に取ると、『アピールツイート』内の誘導リンクがクリックされてCV獲得となりますが、誘導リンクをクリックしてもらうためには、アカウントに対する『関心』を得ておく必要があります。
この『関心』とはその分野において特別であると一目置かれることを意味します。
関心を持たれている状態でアピールツイートに接することで、アピールツイートが宣伝ではなく、「課題を解決する提案」「より良い生活のための提案」と受け取られるようになります。
(フォローされるためにも関心は必要です)
また関心を集めるためにはその前段階の『認知』がより多く必要となります。
『認知』はInstagramの閲覧と同じ意味ですが、Instagramではターゲット(来店・顧客になってくれそうなユーザー)の好みそうなタグを攻略すると自動的にターゲット中心に認知を増やすことが出来ましたが、Twitterではターゲットの好みそうな発信を行なったところで、思うようにターゲットの『認知』が増えません。
この『認知』を効率的に増やすためには『拡散』(Twitter内ならリツイート、Twitter外ならクチコミ)が有効です。
しかしこの『拡散』も運用初期は獲得に苦労します。
戦略
『認知』『関心』『拡散』の3要素を増やす戦略としては、「発信(事前に原稿を用意する入念な発信)と施策(発信以外の作業)を上手に使い分ける」ことにあります。
まず『CV』獲得と『関心』獲得は、発信でなければ実現しません。(前者はアピールツイートのこと)
『関心』の獲得にはコンテンツイート、もしくはブランドストーリーツイートの発信が有効です。
前者のコンテンツツイートから紹介します。
コンテンツとは「意味のある」「価値のある」という意味で、ターゲットの課題解決のための知識や、ターゲットがより良い生活にシフトするための情報を発信します。
コンテンツツイートは関心を寄せてもらう効果が大きい反面、コンテンツイートの作成が難しいビジネスもあります。
例えばラーメン屋のような嗜好性の強い商品を扱う企業・店舗が該当します。そのような場合は、代わりにブランドストーリーツイートを作成しましょう。
ブランドストーリーとは商品・サービスへの拘り、このビジネスを始めた動機、ドラマティックな出会いなど、表には出ない『想い』を画像や動画と共につむいだものです。
(他のツイートでも画像や動画は有効ですが、ブランドストーリーツイートでは特に有効です)
同じラーメンであっても、ブランドストーリーのあるラーメンとそうでないラーメンでは、“食べたさ”が全く変わります。
(お客様が普段見られない、知らない話という点がポイントです)
また『認知』の獲得と『拡散』の獲得には、施策を最大で6種類用います。
一例を挙げると、ターゲットの関心の高いニュースを引用するツイートはターゲットの認知を集める効果があります。
拡散についても同様の悩みを抱えるビジネスアカウント(Twitterにはビジネスアカウントというものはなくビジネス目的のアカウントという意味です)と連携して拡散を人為的に起こすことが有効です。
※詳しくは『Twitter集客で3ヶ月を目標に成果を上げる』をご覧ください。
◇LINE
概要
LINEは身近なコミュニケーションツールとして不動の地位を確立したSNSで、全くの他人と交流することが自然な他のSNSとは趣がかなり異なります。
近年はコミュニケーションツールの域を超え、出前や読書といった様々なビジネスシーンに裾野を広げています。
また他のSNSはビジネスアカウントが一般アカウントとほぼ同じ仕様ですが(Twitterはそもそも区別がありません)、LINEのビジネス利用ではLINE公式アカウント(旧LINE@)による操作となるため、明確に異なります。
(LINE公式アカウントは事業規模に関係なく無料で開設でき、小規模の利用では利用料金も無料ですが、一定規模を超えると有料となります)
特徴
LINEはLINE公式アカウントが他人と積極的に関わることを想定していないため、新規開拓・集客には不向きです。
(正確にはその役割は広告が担っています)
LINEに最も適した用途は顧客生涯価値の最大化になります。
顧客生涯価値(LifeTimeValue)とは一人の顧客が自社・自店舗に生涯貢献してくれる価値のことで、最も分かりやすい例で言えば月に1回の来店が2回に増えること、毎回1000円買い物してくれるところを2000円に増やしてもらうことなどが該当します。
実際はこれを突き詰め、長い目で見たときに最大の利益を上げられるよう、全体をコントロールします。
日本人のLINE利用率はおよそ八割、非常にプライベートな活用をされることから、これが実現可能となります。
課題は他のSNSと同様にいかにLINEの友だちとなってもらうかです。
戦略
LINEの戦略の一つとして、インセンティブ(お得なオマケ)の活用が挙げられます。
LINEはそのための様々な施策(適切なタイミングでのメッセージ送付、クーポン配布など)を用意しています。
ただし皆が一斉にLINEから離れる日も来るかもしれません。
運用とは別に、プライベートで周囲がどのようにLINEを利用しているか注意を配ることも必要です。
概要
Facebookは実名で交流するSNSで、昔のクラスメイトや同僚といった比較的オフィシャルな人間関係との交流を得意としています。
日本でも一時は新卒の就職活動で活用されるなど、大きく存在感を伸ばしました。
特徴
結論から言うと、残念ながらFacebookは現在積極的に利用したいSNSではありません。
度重なる不祥事によるイメージ低下に加え、「数ヶ月おきにログインし、新たな通知だけを確認する」利用法が日本人の典型的な利用スタイルとなったため、成果が期待しづらいためです。
広報ツールと割り切って、他のSNSで発信した内容をFacebookでもそのまま発信するのであれば、一考の余地はあります。
また海外ではまだ利用率が高いため、自社のページを作成し、定期的に更新しておくことで一定の信頼を得るメリットはあります。
以上で『4大SNSの最新ビジネス活用戦略を徹底紹介』を終わります。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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